【経営支援事例】橘内畳店 ~職人の想いを届ける畳ショールーム~

■事業所名  橘内畳店
■所在地   伊達市梁川町字右城町74-2
■創業年   平成28年
■TEL     024-577-7083
■WEB    https://kokusanomote.com/
■活用した制度
 小規模事業者持続化補助金
   (畳ショールーム改装工事ほか)
 福島県 経営革新計画
 ものづくり補助金
   (畳製造機械の購入)
【 支援の経緯 】
事業主である橘内さんは平成28年7月に、父親が経営する「橘内軍一畳店」から独立し創業。
高齢化が進んでいる畳業界では最若手とも言える事業主でした。
しかし、若手でありながらその腕前は確かなもの。
平成19年には「東北六県畳工技能大会」で1位獲得。
平成31年には「第30回技能グランプリ 畳製作部門」で全国銀賞を受賞しています。
 

そんな橘内さんには「とある悩み」がありました。
それは、『店舗でのPR方法』です。

【 商工会への相談 】
橘内畳店の店舗は全面作業場でした。

( 上図:以前の橘内畳店 )
お客様に製造の技術を見せたいという想いから、作業場スペースを広く設けていました。
しかし、作業場というのは一般人からすると『職人の空間』です。
気軽に入れる場所ではない…そんな印象があり、一般のお客様のご来店はほとんど無い状況だったと言います。

『畳そのものの魅力と、自分の想いをお客様に伝えたい。』

常にそう考えていた橘内さんは、商工会に相談されました。

【 経営方針の決定 】
商工会が巡回訪問し相談を行ったところ、魅力的な商品がたくさんあることが分かりました。
 
近年の畳素材は和紙などで作られており、畳表・畳のヘリなども非常にカラフルで可愛らしいものが増えています。
相談の結果、「お客様の目を引く魅力的な商品はどんどん店先に出していくべき。」と判断。
作業場の一部を改装、畳ショールームを設けて一般のお客様への訴求力を高める事業計画を立案しました。

【 補助金の活用① 】
しかし目標とするビジョンが出来上がったとしても、実行に移すための資金の問題があります。
そこで、国の販路開拓支援制度『小規模事業者持続化補助金』への申請を行いました。
事業計画書の作成にあたっては相談の上、橘内さんが持っている原案をベースにブラッシュアップを支援。
無事、採択を受け、

(1)畳ショールームへの改装工事

(2)畳ワークショップ開催に必要なゴザ縫いミシン
 
(3)顧客データベース管理ソフトウェア


の3つを補助対象として導入しました。

この畳ショールームにおいては、お手頃価格で購入可能な畳小物の販売を展開。
(畳素材で作った財布)
(畳のヘリで作ったバッグ)
利用しやすい商品を揃えたことで、お客様が来店しやすい環境を整えました。
また、こういった畳小物を自分で作るワークショップも開催。

今まで接点が少なかった地域の一般消費者であるお客様に、
自社の取り組みや想いを知って頂く機会を積極的に設けています。

なお、この取り組みについては福島県の経営革新計画に申請。
福島県から承認を受けた事業となっております。


【 補助金の活用② 】
このような取り組みによって畳の魅力を伝える事業を行っていたところ、新たな課題が発生しました。
それは、新技術への生産設備の対応です。
近年、畳業界でトレンドとなっている「薄畳」はその特性から、
今まで使っていた古い生産設備では対応しておらず、工程のほとんどを手作業で行っていました。
 
薄畳はその軽さやスタイリッシュなデザインから、洋間への置き畳として使用されるなど人気です。
畳ショールームによって販路開拓を実現しても、生産性を高められず機会ロスが発生してしまっては意味がありません。
そこで、中小企業の生産性向上および革新性向上のための補助金『ものづくり補助金』への申請を行いました。
事業主と商工会とで何度も面談・打合せを行い、
実際の企業の状況・市場の動向・立地地域の特性などを反映した計画書になるよう支援を行いました。

協力体制が構築されていたことにより、申請は無事に採択。
新たな畳製造機械を導入しました。


現在、この導入設備によって『お客様のニーズに対応した新たな畳製品』の開発に取り組んでいます。


【 事業主の声 】

    事業主 橘内直也さん
「商工会の支援を受けて様々な制度の活用に繋がりました。
 どの補助金制度でもそうだと思うのですが、
 事業主自身が夢や目標、ビジョンを持って、
 『これをやりたい』と明確な意思を示すことが大事だと思います。
 商工会はそのような経営者の夢を応援してくれる組織だと感じました。
 ただ『補助金が欲しい』というだけではなく、計画を立て、
 着実に実行に移していくことが大事。
 そのための支援はとても助かっています。」